おとうさんのことが大好きだから

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夫が海外出張から帰ってきました。

10日ぶりのことでした。

得意先のトラブル処理のための
海外出張でした。

詳しいことは話してくれませんでしたが、
辛い仕事だったみたいでした。

疲れきった表情を隠そうともせず、
帰ってくるなり、無言で居間に横になって
目をつむってしまいました。

そんなボロボロに疲れきった夫を
目にするのは初めてのことでした。

夫が戻った気配を察したのでしょう。

奥の部屋でお昼寝していた
3歳の娘が起き出してきました。

満面の笑顔を浮かべて、
私の横を通りすぎ、
夫のもとにトコトコ走っていきます。

いつもなら夫に飛びついていくのですが、
夫の寝姿に戸惑ったように立ち尽くしていました。

じっと夫の顔を覗き込んでいます。

「おとうさん。」

と遠慮がちに声をかけました。

「はい‥‥・」

夫の返事は固いものでした。

目をつむったままでした。

「おとーさん。」

「はいよ。」

「おと―――さん。」

「は――い。」

「おとうさん。」

「なんですか?」

夫の声が柔らかくなっていきました。

「ミクの中にね、ずっと言えなかった
『おとうさん』が、いっぱい詰まっていて、
次々に出てくるの。

おとうさんのことが大好きだから。」

夫の顔が歪んでいきました。

震えながら、大きく深呼吸をしました。

すっと涙がこぼれました。

「おとうさんも お母さんに
だっこしてもらいな。

悲しいのなんか
どっかにいっちゃうよ。」

と娘が言いました。

夫が笑って 娘を抱きしめました。

疲れが吹っ飛んだような笑顔でした。

「だっこしてあげようか?‥・」

私、夫にいっちゃいました♪

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疲れきったお父さんをあっという間に
笑顔にしてしまうなんて・・・

子供の力って凄い!

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