「お母さんの匂い」

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先生が小学五年生の担任になった時、

どうしても好きになれない児童がひとりいた。

その少年は、一人服装が不潔でだらしなかった。

中間記録に先生は少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。

あるとき、少年の一年生の記録が目にとまったのである。

▼一年生・・・朗らかで、友達が好きで、人にも親切。勉強も良く出来、将来が楽しみ。

間違いだ。

他の子の記録に違いない。

先生はそう思った。

▼二年生・・・母親が病気で世話をしなければならず、学校に遅刻する。

▼三年生(一学期)・・・母親の病気が悪くなり疲れていて教室で居眠りをする

▼三年生(三学期)・・・母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる。

▼四年生・・・父は生きる意欲を失い、
      アルコール依存症となり
      子供に暴力を振るう。
 
 
先生の胸に激しい痛みが走った。

ダメと決め付けていた子が突然、悲しみを生き抜いている生身に人間として、自分の前に立ち現れてきたのだ。
 
 
放課後、先生は少年に声をかけた。
 
 
「先生は夕方まで教室で仕事を

 するから、あなたも勉強して

 いかない?

 分からないところは教えて

 あげるから」
 
 
少年は初めて笑顔をみせた。

それから毎日少年は教室の自分の机で

予習復習を熱心に続けた。

授業で少年が始めて手を挙げたとき、

先生に大きな喜びが沸き起こった。

少年は自信を持ち始めていた。

それはクリスマスの午後だった。

少年が小さな包みを

先生の胸に押付けてきた。

後で開けてみると、香水の瓶だった。

亡くなったお母さんが

使っていた物にちがいない。

先生はその一滴をつけ、

夕暮れに少年の家を訪れた。

雑然とした部屋で

独り本を読んでいた。

少年は、気がつくと飛んできて、

先生の胸に顔を埋めて叫んだ。
 
 
「ああ、お母さんの匂い!

 今日はなんて素敵なクリスマス

 なんだ。」
 
 
六年生で少年の担任ではなくなった。

卒業の時、

先生に少年から一枚のカードが届いた。
 
 
「先生は僕のお母さんのようです。

 そして今まで出会った中で

 一番素晴らしい先生でした。」
 
 
それから六年、またカードが届いた。

「明日は高校の卒業式です。

 僕は五年生で先生に担当して

 もらって、とても幸せでした。

 おかげで奨学金をもらって、

 医学部に進学することができます。」
 
 
十年経て、またカードがきた。

そこには先生に出会えた事への感謝と

父親に叩かれた経験があるから

患者の痛みが分かる医者になれると

記され、こう締めくくられていた。
 
 
「僕はよく五年生のときの

 先生思い出します。

 あのまま駄目になってしまう僕を

 救ってくださった

 先生を神様のように感じます。

 医者になった僕にとって、

 最高の先生は五年生

 の時に担任して下さった先生です」
 
 
 そして一年。

 届いたカードは結婚は結婚式の

 招待状だった。
 
 
 「母の席に座って下さい」
 
 
  と一行、書きそえられていた。

出典元:泣ける話・涙腺崩壊 
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人はお互い支えあって生きて

いること。。。

すごく考えさせられるお話でした。

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