2002年公開から毎回大人気で昨年、ファイナルを迎えた「バイオハザードシリーズ」。迫力あるアクションも大きな魅力のひとつですが、その影には命がけのスタントの活躍があったことは、皆さんはご存知でしょうか?
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などでも活躍していた、オリヴィア・ジャクソンさんは「バイオハザード: ザ・ファイナル」の撮影に、主演のミラ・ジョヴォヴィッチの、スタントとして参加していました。
そんな彼女に事故は起こりました…

2015年9月5日、南アフリカのヨハネスブルグでの撮影のことです。モトクロス選手としても活躍している実績を活かし、オリヴィアさんは、オートバイでのアクションに挑んでいました。

もちろん、最新の注意を払って撮影されているスタントシーンですが、時に起きてはならない事故が起きることがります。この日がまさにそうでした。ヘルメットなしの状態で、猛スピードで疾走するオリヴィアさんのオートバイが、金属製のカメラアームと衝突しました。

病院に運ばれたオリヴィアさんは、意識不明となってしまったのです。
顔面の骨折と損傷、脳内出血、脳腫脹、首の大動脈切断、脊髄の神経は5本引きちぎられ、親指は切断され、引き裂かれた指もありました。肋骨、鎖骨、上腕は骨折、腕は麻痺し、左肩の甲骨は粉砕骨折で粉々になっていました。そして行方不明の骨が7本…。

そんな大事故にあってしまった彼女、なんと17日間もの間、昏睡状態が続きました。

そして、オリヴォアさんは奇跡的に、一命を取り留めました。しかし、損傷の大きかった左腕は切断するしかなく、上半身は大きくねじれてしまって戻りませんでした。

「最高に楽しい現場だったとは言えない状況です」

オリヴィアさんは、気丈にもFacebookでその思いを綴りました。

「私の左腕は切断するしかないようです。これからの人生で、2度とモトクロスができないなんて信じられない。心が引き裂かれてしまいそうです。生きていて本当によかった。けれど私は、エネルギッシュだった私の人生を変えてゆかねばならないでしょう」

オリヴィアさんの人生を変えてしまった恐ろしい事故から2年。
さて、オリヴィアさんのエネルギッシュだった人生は、どのように変わったのでしょうか。それは、彼女のインスタグラムをみればわかります。そこには、左腕を失ったとは思えないパワフルな彼女の姿がありました。

横隔膜がマヒしているため、呼吸が難しいというのに、なんと水泳まで!見事なフォームでの泳ぎを、披露していますよね。

同じスタントを仕事にしている夫、デビッド・グラントさんは、オリヴィアさんが昏睡状態だった17日間、ずっとそばに付き添い「絶対に治るよ」とポジティブな言葉をかけつづけました。
そして、退院してからは彼女の看護のほか、料理などの家事もすべてこなしました。しかし、オリヴィアさんは「すべてを彼にやってもらう事」を望みませんでした。

そんなある日、唐辛子を足でしっかりとつかみ、右手でそれを刻みました。思いの外、うまくいったその様子を見たデビットさんは「すごいね!面白い!」と驚き喜んだのです。

何より、自分の一部のように感じていたバイクに乗れなくなってしまったこと、大切な仕事のスタントができなくなってしまったこと。思い出して苦しくなる瞬間もあると彼女はいいます。
「けれど、私たち夫婦は、あの事故で『暗く重い瞬間においても、軽く明るい面を見ていこう』という共通の決意を確認しました。泣いても人生は巻き戻すことはできないのです」

ある日突然に、奪われてしまった思い描いていた未来。事故により、人生が大きく変わってしまったオリヴィアさん。そんな彼女はこんなことを語りました。

「正直言うと、私は今持っているものに感謝することしか興味がないんです。失ったものに恋い焦がれても仕方ないでしょう?私の目標は『完璧なスタントをする』ことでした。けれど今、そのキャリアは終わってしまったんです。そして今は、新しい目標を設定して、それを習得していくことができる時なのです」
オリヴィアさんは、日々の何気ない小さな新しい成功から、達成感を得ることができるといいます。
「ただ歩く、それを学ぶことからの再スタートでした」

「壮大なセットの中で、猛スピードで走る車から飛び降りるのと同じくらいの達成感と誇りを感じる毎日です。まだ長い道のりの途中にいるけれど、人生の残りの時間を、最大限に楽しむための努力をするつもり」

今までの人生がアクティブで、充実していたからこそ受け入れるには、あまりに辛く苦しいことだったでしょう。けれど、支えてくれる人がいて生きていたことに感謝をする。その毎日を「楽しもう」としています。
どんな状態になっても、自分の力で自分を幸せにできる…オリヴィアさんの強い心と行動力は、私たちに何かを教えてくれるようです。

出典元:spotlight-media